研究課題
基盤研究(C)
神経内分泌細胞では、ペプチドホルモンや神経ペプチドは、粗面小胞体で合成された後、ゴルジ装置を経て、トランスゴルジネットワーク(TGN)から分泌顆粒に選別輸送されて、貯留され、細胞外刺激により分泌される(調節性分泌経路)。一方、外部刺激による調節を受けない、成長因子、膜蛋白質、血清蛋白質、酸性ホスファターゼ等は、TGNで細胞表面に移行する経路、エンドソームへ向かう経路へ選別され、輸送される(構成性分泌経路、TGN-エンドソーム・リソゾーム経路)。分泌顆粒へ輸送されるタンパク質の選別メカニズムは議論の多いところで不明な点が多い。申請者は、グラニンタンパク質が神経内分泌細胞の分泌顆粒に特異的に局在することから、その選別機構の解明を通してペプチドホルモンの選別機構も解明できると考えている。これまでに申請者は、クロモグラニンAと結合する蛋白質(セクレトグラニンIII)を同定して、細胞生物学的、生化学的解析を行い、セクレトグラニンIIIは、クロモグラニンAと分泌顆粒内の弱酸性、高カルシウム環境で強く結合し、クロモグラニンAの調節性経路への選別受容体として機能することを示した。本研究では、平成15年度、16年度に1)セクレトグラニンIIIは高コレステロール濃度の脂質組成をもつ分泌顆粒膜と直接結合して顆粒へ選別輸送される(J.Biol.Chem.279,3627-3634,04)、2)セクレトグラニンIIIとカルボキシペプチターゼE(CPE:分泌顆粒への選別受容体の一候補)の相互作用機序と、セクレトグラニンIIIが、ペプチドホルモンの普遍的な選別受容体として機能する(論文投稿中)、ことを明らかにした。これらの結果より申請者は、ペプチドホルモンはセクレトグラニンIIIやCPEなどの選別受容体により分泌顆粒へ選別され、その後、クロモグラニンAと凝集体を構成し、分泌に備えると考えている。
すべて 2004 その他
すべて 雑誌論文 (10件) 文献書誌 (2件)
Lab.Invest. 84
ページ: 1581-1592
Arch Histol Cytol. 67
ページ: 57-64
10012846445
Growth Factors 22
ページ: 51-59
J.Biol.Chem. 30
ページ: 3627-3634
Diabetes 52
ページ: 2720-2730
Laboratory Investigation 84
Arch.Histol.Cytol. 67