研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、神経可塑性の獲得過程において、チャネルに付加されるシアル酸が、チャネル輸送や活性の変化、さらにはその後の応答シグナルにどの様に関わるのかを、個体・細胞・分子レベルで解析することであった。本申請者は、神経の可塑的変化に連動して発現変動を示すシアル酸転移酵素を見つけた。この酵素は、電位依存性ナトリウムチャネル・カリウムチャネル等に付加されるポリシアル酸の幹のシアル酸付加に関与する酵素である。本研究では、本酵素によるシアル酸付加の有無がチャネル動態に与える影響を解析することであった。まず、ST3Gal IV・コンディショナルノックアウトマウスの作成を試みた。本研究では、C57Bl/6Jマウス由来のゲノムとES細胞(E14)を用いた系で、Cre-loxPによるノックアウトを試みた。受精卵へのCAG promoter-Creプラスミドの導入により、ST3Gal IV完全欠失マウス作成に成功した。この成功は、本酵素によるシアル酸付加の有無がどのようにチャネル動態に影響するのかを、in vivoからin vitroにかけて調べることを可能にする。さらに、ノックアウトマウス作成に先立ち、チャネル輸送・チャネル活性の解析を念頭に置いた、細胞膜やシナプスの膜動態の解析方法を検討してきた。特に、細胞内シグナル伝達のホットスポットと考えられているラフトとシナプスの関係に注目し、チャネルの分布を検討した。成熟マウス脳から大脳皮質・海馬を取り出し、TritonX-100難溶性膜画分を抽出し密度勾配超遠心を行った。その結果、膜画分を2層に分離することができた。幾つかのマーカーにより、上層がraft画分、下層がシナプス(post-synaptic density)画分であることを確認した。加えて、脳内の電位依存性ナトリウムチャネルが、ラフトとPSDそれぞれの画分に分布する一方で、糖鎖構造が異なることがわかった。本研究課題の遂行により、ノックアウトマウスのイオンチャネルの膜動態を解析する準備が整った。
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