研究課題/領域番号 |
15500287
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
松山 清治 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40209664)
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研究分担者 |
小林 卓 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50325867)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 歩行運動 / 跳躍運動 / 歩行中枢 / 脳幹 / 脊髄 / 下行性投射系 / ウサギ / 小脳 |
研究概要 |
本研究では歩行運動の多様なパターンの発現に如何なる中枢神経機序が働いているかを知るため、ネコとは異なり左右後肢がGallopに類似した同位相運動、すなわち跳躍運動(Hopping)を基本歩容とするウサギを用いて、跳躍運動の発現に関わる脳幹-脊髄神経機構の解明を試みた。さらにウサギの神経機構をネコの神経機構と比較することで、左右同位相と左右交互歩行運動の発現に関わる中枢神経機構の特徴を明らかにしようとした。このため3年間の研究期間に、(1)除脳ウサギ歩行実験標本の開発、(2)ウサギ跳躍運動パターンの解析、(3)ウサギ跳躍運動誘発に関わる脳幹下行経路の検討に関する3項目の研究を進めてきた。 【成績】(1)除脳ウサギ歩行実験標本の開発:除脳ウサギの中脳楔状核を電気刺激することで左右後肢に同位相の跳躍運動が繰返し誘発でき、ウサギ跳躍実験モデルを確立した。また除脳ウサギの小脳白質正中部腹側部への電気刺激により後肢に屈伸運動を繰返す足踏み様運動が誘発されることも確認した。(2)ウサギ跳躍運動パターンの解析:上記の実験モデルでは中脳楔状核への刺激により跳躍運動のみが誘発され、また刺激強度を上げることで跳躍運動の持続時間が延長した。後肢の運動学的解析と筋電図解析から、刺激強度の上昇により跳躍周期の短縮と後肢筋活動の増強が認められた。跳躍周期の短縮は後肢支持相の短縮によるもので遊脚相には殆んど変化はなかった。また刺激強度の上昇に伴う跳躍運動の速度や動作の増大には後肢伸筋と屈筋の活動の増強がもととなっているが、中でも足関節の運動に関わる筋群が重要な役割を持つことが明らかとなった。(3)ウサギ跳躍運動誘発に関わる脳幹下行経路の検討:中脳楔状核刺激の下部胸髄半切断による影響を観察したところ、左右後肢同位相の跳躍運動の発現には両側脳幹下行経路の協調した働きが重要であることが示された。さらに、内側縦束及び延髄網様体切断による影響も観察したところ、中脳楔状核刺激による跳躍運動誘発には延髄外側網様体を通過する経路が重要な役割を持つことが示された。以上より、ウサギとネコのそれぞれの基本歩容である左右同位相の跳躍運動と左右交互の歩行運動では、これらを発現・制御する脳幹-脊髄神経機構の成立ちに違いのあることが強く示唆された。
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