研究課題/領域番号 |
15500318
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西田 健朗 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50336244)
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研究分担者 |
荒木 栄一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10253733)
榊田 典治 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (50170577)
西川 武志 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (70336212)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 人工膵島 / 門脈内インスリン注入 / インスリン注入アルゴリズム / コンパートメントモデル / 肝糖取り込み / net hepatic glucose balance |
研究概要 |
人工膵島開発の究極の目標は、糖尿病患者の長期に亘る厳格な血糖制御を達成することにある。この血糖制御をするための唯一のホルモンがインスリンであり、これまで種々のインスリン注入経路の検討がなされているものの、健常人の膵から分泌されたインスリンが直接門脈内に流入することを考慮すると、インスリンの門脈内への投与が最も生理的でかっ理想的といえる。本研究では、肝糖代謝及び血漿インスリン動態という観点から、人工膵島における門脈内注入の有用性を評価せんとするものである。 まず、インスリン門脈内及び末梢静脈内注入において、注入経路の違いによる肝糖取り込みを比較した結果、門脈内注入において有意に肝糖取り込みが大きいことが示唆された。次に、速効型インスリン門脈内投与時の血漿インスリン動態を数理モデルを用いて解析し、closed-loopインスリン門脈内注入アルゴリズムを開発した。 さらに、本アルゴリズムの有用性を検討すべく、本アルゴリズムを適用した人工膵島を用いて、糖尿病モデル犬における2g/kg経口ブドウ糖負荷時の血糖制御を試みた。その結果、以前に作成した末梢静脈内注入アルゴリズム作動時と同様、血糖制御は有意差を認めず良好であり、インスリン注入パターンにおいても有意差を認めなかった。しかしながら、血漿インスリン動態において、門脈内注入時は末梢静脈内注入時に比し、末梢静脈及び動脈血中の血漿インスリン濃度では負荷後40分から90分まで有意に低値、門脈血中の血漿インスリン濃度では負荷後20分から90分まで有意に高値を示した。さらに、肝糖取り込みにおいても、門脈内注入時が末梢静脈内注入時に比し、有意に増加していることが示唆された。 以上、インスリン門脈内注入により、肝の糖代謝への関与をより密にすることで糖処理能を高めること、動脈硬化促進因子としての末梢血高インスリン血症を惹起することなく血糖制御が可能であること、が示され、人工膵島におけるインスリン注入経路としての門脈内注入の有用性が示唆された。
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