配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
本研究では磁気共鳴画像化法(Magnetic Resonance Imaging, MRI)を応用して圧力・組織弾性・温度あるいは磁化率といった脳の基礎物理量を非侵襲計測する方法を開発し,それらの諸量と生理要因・病的要因との相関を解明を目指すと共に,その結果を臨床応用するための基礎を確立することを目的とした.まず頭蓋内圧力ならびに脳組織弾性に関しては,MR流量測定と等価電気回路の逆問題解析に基づく非侵襲推定法を提案した.血流ならびに脳脊髄液流を電流で,圧力を電圧で,脳実質から脳脊髄腔への圧変換を変圧器で表した等価電気回路を考案し,その1次側電流として大後頭孔付近のオブリーク面のMR流速画像に基づいて得た動脈血流量を,2次側電流として同じ断面で得た脳脊髄液流量を与え,逆問題を解析することにより,頭蓋内圧指標ならびに組織弾性指標を求めた.健常群25名,患者群9名のボランティアに本法を適用し,両指標を縦及び横軸にとって解の分布を2次元マップした,その結果,病態が軽微な患者は両指標の分布が健常群とオーバーラップしたが,病態が重篤な患者では健常群とは有意に異なる位置に両指標が分布した,また患者群のデータのうち術前と術後のデータが揃った例(2例)においては,脳弾性指標は術後の値が術前に較べて高く,頭蓋内圧は術後の値が術前に較べて低くなった.これは腫瘍摘出術によって,脳組織弾性が向上すると共に,頭蓋内圧が低下したことを示唆し,臨床知見と定性的に一致した.これらの結果から,所期の目標であった,頭蓋内圧力指標と脳組織弾性指標に基づく病態の区分けの可能性が示された,温度に関しては,線状掃引型超高速磁気共鳴分光画像化法の応用ならびに,複素自己参照型分布画像法の提案を行い,両手法の有用性を示した,今後は,本研究の成果を生かしてさらに実用化を目指した検討を続ける所存である.
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