配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
我々は,今まで様々な動物実験を行い,wave intensityの生理学的性質を明らかにしてきた.今回の研究では,その臨床応用として,超音波装置を用いて非侵襲的に計測するシステムを完成させ,心不全症例において,心不全の病態把握,治療効果の判定に用いてその有用性を検討することを目的とした。 (1)計測システムの完成 いくつかの試作機にシステムを組み込んできたが,今回の研究で市販機に応用した.市販機用のソフトはいろいろな制約を受けるため,ソフトの改良に多くの時間を要したが,最終的に新型市販超音波装置SSD6500(アロカ社製)に計測システムを組み込んで完成させた. (2)臨床応用 この装置を用いて、健常人で検査を行い、正常値の検討を行った。また拡張型心筋症を含む種々の心疾患症例で計測を開始した。 拡張型心筋症におけるwave intensity波形の特徴は駆出早期の正のピーク(First peak)が低いことである。しかし興味深いことに、若年の拡張型心筋症例では、心エコー上著明な心拡大と収縮低下を示しながらもFirst peakが正常と変わらない症例が認められた。このような症例では頚動脈の血管スティッフネスが低く血流速度が速いことが多かった。一方、中高年で発症した拡張型心筋症例では、血管スティッフネスが高く、wave intensityのFirst peakが低いことが特徴であり、心不全発症に血管系の硬化による後負荷が影響していることが推測された。このように心不全発症年齢により駆出様式が異なることは、心エコーでは捉え難く、wave intensityによる評価が有効であると考えられた。さらに,多くの症例で検討した結果,拡張型心筋症では心エコー検査での左室収縮率よりNYHAとの相関が高く,予後判定に有用であることが判った,また,肥大型心筋症では拡張能の指標として有用であることが示された,さらに虚血性心疾患のイベント発生のリスク評価に有用であることが示された.これらの結果を各学会で報告した.
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