研究分担者 |
田中 信行 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40041454)
川平 和美 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20117493)
余 永 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (20284903)
林 良太 鹿児島大学, 工学部, 講師 (40288949)
下堂薗 恵 (下堂園 恵) 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30325782)
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研究概要 |
本研究では,中枢神経疾患のある患者を対象として,手指の感覚障害の定量的な評価と訓練を行うことができる訓練・検査システムの開発を行った.刺激とプラセボをランダムに繰り返し与え,正答率によって刺激の強さを自動的に変えていく方法に特徴がある.強い刺激から始め徐々に刺激を弱めていき識別できた最小値を閾値とすることにより,感覚障害の客観的ならびに定量的評価が可能な検査機能を実現した.また,検査方法と同様の方法で刺激の強さを変え,閾値前後の刺激を頻回に与えることにより効果的な訓練機能も実現した. 手指感覚障害の訓練・検査システムを鹿児島大学病院附属霧島リハビリテーションセンターに設置し,臨床試験を実施した.その結果,以下の知見が得られた. 1.本研究で開発した訓練・検査システムは自動的に閾値を測定できる機能を持ち,感覚障害の客観的,定量的評価を可能にした. 2.本訓練・検査システムでは,閾値前後の刺激を頻回に与える訓練が可能である. 3.本訓練・検査システムの閾値測定機能の評価を行った結果,閾値には再現性があり,十分な信頼性を持っていることが判明した. 4.本訓練・検査システムによる感覚障害回復訓練を行った結果,閾値に改善傾向が見られた. 今後の課題として,本訓練・検査システムによる一層の訓練効果を確認するために,長期の訓練を行い,症例数も拡大していく必要がある.また,本研究では,症例数ならびに検査対象者が少なかったことから,触覚障害の回復と振動覚障害の回復との関連性の有無について十分に確かめるだけの結果を得ることができなかった.しかし,これらに関しても触覚と振動覚の両方に麻痺がある患者に対して臨床試験を継続して行えば,関連性の有無も明らかにすることができると期待される.
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