研究分担者 |
原田 俊英 広島国際大学, 医療福祉学部, 教授 (60181020)
小澤 由嗣 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (60280210)
今泉 敏 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (80122018)
宮口 英樹 広島大学, 医学部, 教授 (00290552)
吉田 彰 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (30136113)
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研究概要 |
脳血管障害(CVD)慢性期の脳機能の回復機序を検証するために,CVD慢性期症例のリハビリテーションによる臨床経過と脳波,脳循環動態の関連を縦断的に検討した.脳波は脳波計SYNAFIT 2514(NEC)で症例30例(初診時平均年齢61.2歳,初回検査時平均年齢は62.8歳)で初診かち平均52.6ヵ月の経過中に平均3.9回測定した.脳循環動態は近赤外分光法near-infrared spectroscopy(NIRS)法で光トポグラフィ(Hitachi, ETG-100)を用いて19例(初診時平均年齢57.5歳,検査時平均年齢59.1歳,複数回検査は17例)で検討した.脳循環の検査課題として体位変換(臥床-立位-坐位),記憶課題(三宅式記銘力検査の有関係,無関係の各5項目),物品名の呼称・想起課題(5物品)を用いた.計測は両側頭・頭頂部でtotal-Hb, oxy-Hb, deoxy-Hbを検討した.脳波の測定初期には主に徐波成分が出現し全例で病巣側と一致したが,その分布は広範囲で健常側にも及んだ.経過とともに健常側の除波成分は減少傾向を示し,α帯の出現を認め,社会復帰との関連が示唆された.P300のマッピングではP300の左右差が明らかとなった.記銘力検査の有関係課題で.total-Hbレベルは増加した.無関係課題では,正解率とは無関係の増加例もあった.呼称・想起課題では呼称でtotal-Hbレベルは増加した.以上,CVD慢性期にも脳波は改善した,脳循環動態の変化は課題により個々に相違がみられ,脳循環をより有効に増加させる課題が個々で異なることが推測された.脳機能の回復には脳の健常側の賦活が必要である.リハビリテーションの課題によって脳循環の病変側と健常側の両側の血流を増加させるため,課題を工夫したきめ細かいプログラムの作成が必要である.
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