研究課題
基盤研究(C)
本研究では、旧西ドイツにおける学校体育の存在意義と内容を冷戦という社会構造と関連づけて考察した。得られた成果は以下のとおりである。冷戦期において競技スポーツは国威発揚の有力な手段であった。このことに着眼して競技スポーツ振興政策にいちはやく乗り出したのは、社会主義体制の東ドイツの方であった。西ドイツもそれに対抗しなければならないのだが、民主主義国家であるために上意下達で競技スポーツを振興するわけにもいかない。そこで、国民生活の充実という福祉的イメージを強調しながら大衆スポーツ振興と抱き合わせた形で競技スポーツを振興していくのである。そのなかで学校体育においては、教科名を体育科からスポーツ科に変更し、国民の余暇生活の充実という観点からスポーツそのものを楽しむことのできる「行為能力」の育成に力を注いでいく。スポーツ科の授業は週3時間保証され、また大学入学資格試験のアビトゥアの科目にスポーツ科が入れられるなど、スポーツ科にとっては「黄金時代」と言ってよいほど、その存在意義は認められ、優遇されたのである。しかし、この優遇策の裏ではスポーツの「行為能力」の概念が次第にスポーツの「技術能力」という狭い意味で使われるようになる。それに伴って、教材から民族スポーツは削除され、オリンピック種目が中心に据えられ、技術主義的な授業が進められるようになる。そして、スポーツクラブと学校体育の連携という名のもとに、体育教師は学校体育においてスポーツの才能に恵まれている子どもを発掘し、その子どもたちをスポーツクラブへと送り込むように奨励されるのである。こうして、学校体育は競技スポーツ振興の下請け機能を負わされることになるのである。いわば代理戦争としてのメダル獲得競争の底辺を固める役割を担うことによって、冷戦期・西ドイツの学校体育はその存在意義を獲得していたのである。
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