研究課題
基盤研究(C)
本研究は、子どもたちの「身体活動」が、「地域」という場において「総合的な身体、および身体運動の学習」となるための条件を検討することを目的としている。本研究では、新たな総合的「身体教育」の内容を、従来の「スポーツ」や「運動」ではなく、それらを包含した新しい「活動」の概念で捉えることが必要であり、その「活動」が実践される「場」を「空間(教育的空間)」として検討することの重要性を明らかにした。よって、総合的「身体教育」のための「場」に関する論議においては、物理的な構造物としての機能のみならず「空間」としての象徴性、教育性、および時間的な「履歴(歴史)」を検討することが重要であると結論付けた。本研究では、この新たな総合的「身体教育」のメディアとして、従来の「スポーツ」や「運動」を包含した新しい「活動」の概念「スポーツ&レジャー」を提示し、教育における「生成の論理」に基づいて検討を加えた。そしてその教育実践の「場」である「教育的空間」の構造を検討し、身体教育との関連を考察した。これらの理論的検討と併行して、(1)履歴を有する「空間」(オリンピックを中心に)(2)履歴を記憶する「空間」(記念館、ミュージアム)(3)履歴を継続する「空間」(スポーツ「メッカ」)(4)新たな履歴を創造する「空間」(巨大スタジアムの、を対象として選定し、実態調査を行った。さらに、総合的「身体教育」のための有効な「場」の条件を考察するために典型的な事例として沖縄県石垣市のAサッカーパークを選定、調査し、地理学的検討を加えた。これら検討の結果、総合的「身体教育」においては、1.「教える-学ぶ」という関係のみでなく、「生成」の体験がなされるような「空間」のマネジメントが重要である、2.その「生成」のためには新たなメディアが検討されなければならない、3.その「空間」は空間の履歴を継続する、人間的な「教育的空間」でなければならない、という点を指摘することができた。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
体育・スポーツ哲学研究 26巻2号
ページ: 13-22
130003709169
Journal of philosophy of Sport and Physical Education Vol.26, No.2