研究課題
基盤研究(C)
von Willebrand因子(vWF)は、血栓形成において「分子糊」として作用し、運動負荷とともに抗原量は増加することが報告されている。しかし、その生理学的意義並びに安静期のレベルに復帰する恒常性機構(ホメオスターシス)については明らかではない。今回、我々は男子大学生20名を対象に、自転車エルゴメータを用いた65%VO2maxの60分間運動(高強度)と40%VO2maxの60分間運動(低強度)を日を変えて実施し、負荷前、負荷直後から経時的に12時間後まで血液を採取した。この血漿を用いて血小板数、vWF抗原量(vWF:Ag)、リストセチンコファクター(RCof)の定量、vWFMの解析、およびADAMTS13活性の測定を行った。その結果、高強度群において、負荷直後よりvWF:AgとRcofは著増し、UL-vWFMの出現も認められた。このUL-vWFMは運動6時間後まで検出され、12時間後には消失した。低強度群ではかかるvWFの変化は認められなかった。一方、vWF-CPase活性はvWFの動態とは異なり、運動負荷前後には酵素活性の変化は認められなかったが、2時間後以降に減少が認められた。すなわち、高強度運動負荷によるUL-vWFMの増加は血圧上昇に伴う外傷時の過剰出血に対する防御策の一つと考えられるが、これは血漿中のADAMTS13により分解され、同時に同酵素活性の消耗性低下がひき続くものと理解された。次に、高強度時にみられた変化が如何なる要因によるものかを明らかにするため、運動時の発汗による脱水状態に着目し、脱水状態の相違がVWF産生ならびに回復過程にどのように影響するのか検討した。その結果、一時間後の(RCof)と体重当りの脱水率との間には有意な正の相関傾向(p=0.07)がみられたことから、運動時における脱水の程度が軽い者ほど、回復過程におけるVWF凝集能の低下が早期に出現する可能性が示唆された。
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