研究課題
基盤研究(C)
レジスタンストレーニング(RT)は筋力向上だけでなくからだの機能向上に大きな効果を持つことが報告されている。しかし、その仕組みは明らかではない。今回は短期間のRTが運動時の交感神経活動とその効果器である心循環反応にどのような効果を及ぼすか検討した。(1)RTは非利き腕を用い10秒間の静的ハンドグリップを最大努力で10回、3セットを週3回、4週間実施した。最大ハンドグリップ張力はトレーニング側だけでなく非トレーニング側も増加した。(2)中枢性のトレーニング効果は15秒間の最大努力静的ハンドグリップ運動を間欠的に行なった際の心拍、筋交感神経活動から解析した。トレーニング肢の運動開始時の心拍上昇反応はRT後増大したが、この増大は非トレーニング肢でも生じた。従って、トレーニングに伴う心拍調節は活動筋からの反射調節よりも大脳皮質からのセントラルコマンドが重要と考えられた。トレーニング、非トレーニング肢運動時の筋交感神経活動に差は認められなかったが、この反応はRT前に比べてRT後ではより早くなる傾向が認められた。(3)RTの代謝受容器反射に対する効果は、動脈阻血下で律動的な1分間の最大努力ハンドグリップ後阻血時の交感神経反応から検討した。筋交感神経反応はRT後高まったが、トレーニング側と非トレーニング側の差は変わらなかった。従って、短期間のRTでは活動筋反射に対する効果は小さいと考えられた。以上、高い運動努力を必要とするレジスタンス運動は活動筋反射に対する効果よりセントラルコマンドに対する効果が大きく、これが交感神経調節に影響したと考えられた。これらの結果から、前腕筋のような小筋群の運動であっても大きな運動努力を発揮することでからだの機能を調節する自律交感神経活動に大きな効果を及ぼすことが明らかになった。
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