研究課題
基盤研究(C)
高齢期のヒトおよび実験動物(マウスおよびラット)を用いて筋萎縮および骨粗しょう症を抑制するための方法を検討した。30歳代(17名)、60歳代(15名)、70歳代(12名)、80歳代(9名)の女性を被験者として、最大努力での膝伸展筋力と踵骨の骨密度を測定した。さらに、60-80歳代の被験者には、最大努力の50%(最初の2ヵ月間)、70%(3ヵ月間の休息を挟んで次の2ヵ月間)、100%(さらに3ヵ月間の休息を挟んで次の2ヵ月間)で膝伸展筋力を発揮する運動を行った。30歳代に対して60-80歳代は、有意に低い最大努力での膝伸展筋力と骨密度を示した。さらに、60-70歳代に対して80歳代は、有意に低い最大努力での膝伸展筋力と骨密度を示した。最大努力の50%と70%の運動では、年齢に関係なく最大努力での膝伸展筋力に変化はみられなかった。一方、最大努力の100%の運動では、60歳代と70歳代において、最大努力での膝伸展筋力に有意な増大認められた。骨密度については、年齢および運動強度に関係なく変化はみられなかった。以上の結果より、60-70歳代では、強度の高い運動を継続することにより低下した筋力を改善できる可能性があること、一方、骨密度については、運動に関係なく改善がみられないことが明らかになった。高齢者でも日ごろより強度の高い運動を継続することにより比較的高い筋力を維持できることから、そのような運動プログラムを作成することが今後の課題となった。骨密度については、運動の影響を受けなかったことより、若いときから骨密度を高めておくことが重要であると考えられる。一方、実験動物を用いた研究では、運動量よりも運動強度に依存して高齢期の筋萎縮および骨粗鬆症を抑制できることが明らかになった。したがって、高齢期の骨粗鬆症および萎縮の抑制には強度の高い運動を継続することが必要であると結論された。
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