研究課題/領域番号 |
15500550
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
食生活学
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
森口 覚 山口県立大学, 生活科学部・栄養学科, 教授 (80166397)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | α-トコフェロール / 末梢血リンパ球 / 血漿NO濃度 / 健常高齢者 / 幼若化能 / VLDLコレステロール / サプリメント / 末消血Tリンパ球 / 高齢者 / 細胞性免疫能 / ビタミンE / 栄養状態 / 食生活 / 一酸化窒素 / PGE2 / NK細胞活性 |
研究概要 |
本研究では、(1)健常高齢者の血漿ビタミンE(α-トコフェロール;α-T)濃度、(2)健常高齢者の血漿ビタミンE濃度と細胞性免疫能および(3)ビタミンEをサプリメントとして摂取した場合の免疫能への影響について検討した.まず、健常高齢者の血漿ビタミンE濃度に関しては、65歳以上の健常高齢者では血漿α-T濃度の低下はほとんどみられず、むしろ20歳代の若者と比べ若干高い値を示す者さえみられた.しかし、実際はα-Tが血中に存在する際にはVLDL-コレステロール内にあり、しかも、高齢者ではコレステロール、中性脂肪の血中レベルの上昇する者が多いことから、高齢者のビタミンE栄養状態を判断する場合にはこれら脂質の変動も考慮する必要がある.次に、末梢血T細胞機能は20歳代の若者と比べ明らかに高齢者では低下していた.さらに、高齢者においても年齢の上昇に伴いT細胞機能が低下することを認めた.血漿α-T濃度と末梢血T細胞機能との関連をみた場合、有意な相関はみられなかったが、血漿α-T濃度を血漿VLDL-コレステロール濃度で除したものと末梢血T細胞機能との関連をみた場合には有意な正相関を認めた.これら結果を基に、平成16年度は同一対象者の中で同意が得られた42名(男性8名、女性34名)について、毎日、300mgのα-Tを3ヵ月間服用してもらい、服用前後の末梢血リンパ機能の変化をみた.血漿α-T濃度は服用後には服用前の約1.7倍に増加し、健常高齢者でもビタミンEの消化・吸収は損なわれていないことがわかる.また、血漿VLDLコレステロール濃度はα-T服用前後においても顕著な変化はみられなかった.その結果、VLDLコレステロール当りのα-T濃度は服用後に有意な亢進を認めた.また、末梢血Tリンパ球のPHAに対する幼若化能は服用前に比べ、服用後で有意に高いことを認めた。この機序を血漿一酸化窒素(NO)濃度変化からみたところ大きな変化を認めなかった.以上高齢者における肺炎等の感染予防や感染後の重篤を防止する上でビタミンE栄養状態を良好に保つことが重要であることを示している。しかし、その機序としてNOの関与は認められず、ビタミンEそれ自身が有する免疫賦活作用と関連する可能性が示唆された。
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