研究課題
基盤研究(C)
植物エストロゲンと呼ばれる大豆イソフラボン(ISO)は、ホルモン依存性がんや、その他の生活習慣病予防効果をもつことで知られている。しかし、その生体内利用や他の食事因子の影響に関する研究は少なく、特にISOの代謝産物については未知の部分が多い。本研究ではプレバイオティクスのフラクトオリゴ(FOS)とdaidzein (Da)代謝産物との関係に着目し、どのような条件下においてFOSがDaから生理作用の強いequol (Eq)産生能を増加させるのかを検討した。平成15年度はラットにISO-FOSを2週間併用摂取させ、解剖前12時間の絶食で腸肝循環によるEq産生が高まる可能性を仮定し血中Eq濃度を測定したところ、FOS投与による影響はみられなかった。平成16年度は約1週間のFOS摂取をさせたラットにISO配糖体を胃内単回投与し、Eqおよびもう一つのDa代謝産物のO-desmethylangolensin (O-DMA)についても血中および尿中の経時変化より観察したところ、Daの殆どがEqに代謝されることを確認した。さらにEqの骨量減少に対する直接的な抑制効果について卵巣摘出骨粗髪症モデルマウスを用いて確認した。17年度はISO投与後の糞便中ISO代謝産物濃度の測定と腸内フローラの解析を行ったところ、糞便中でもEqとO-DMA濃度は血中動態を反映しており、FOS摂取により増加した糞便中フローラはT-RFLP解析とReal-time PCRにより、いずれの時間帯でもBifidobacterium属、Lactobacillus murinus (L. animalis)と同定された。また、別途光岡法に準じ、盲腸内容物中のフローラについて解析したところ、盲腸内容物フローラ分析においても、糞便と同様にBifidobacteriumおよびLactobacillus属の顕著な増加がみられた。ビフィズス菌はDa配糖体の糖鎖を切る酵素の活性を上昇させるため、間接的にEq産生に関与することは確実であるが、既報のEq産生菌の明らかな変動は認められず、糞便培養の結果においても培養上清中のEqは検出されなかった。以上の結果から、FOSにより増加するEq産生能には今回同定された腸内フローラ構成菌以外の因子も関与する可能性が示唆された。
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