研究概要 |
ヒトを用いた検討:女子大生(401人)を対象に,ダイエット経験の有無と生理不順と体脂肪率が骨量にどのように反映するかを検討した.ダイエット経験,体脂肪率と骨量の間に有意なプラスの関係が認められた.それは予想に反したものであり,痩身志向者の体重は必ずしも減少に繋がらず,ダイエット未経験者に比して重い体重が骨への高負荷となり骨量に良い影響を及ぼしたと考えられる.生理不順と骨量には関係が認められなかった.さらに,被験者401名のうち同意の得られた166名を対象に,エストロゲンレセプター(ER)の多型(RFLP)を解析した.DNAの採取後,ERαのIntron IのPvu IIとXba IについてRFLP解析を実施した.生理不順者はppxx(n=60)に多く(48.3%),stiffness値は89.0とPPXX(n=4)の77.0についで低かった.また,Ppxx,PpXx,ppxkタイプのものでは,運動により骨量が多くなった(p<0.05).これは,運動による効果が少ない遺伝的タイプがある一方,軽い運動でも骨量に影響を及ぼすタイプもあることを示しており,特に後者タイプにおいては,適度の体重維持と軽い運動実践など日ごろの地道な努力が骨粗鬆症を予防し,寝たきり老人の増加に歯止めをかけることを示唆した. 骨芽細胞を用いた検討:骨芽細胞(ROS17/2.8)へのエストロゲン(E)10^<-9>M,テストステロン(T)10^<-7>Mの24時間添加が,ビタミンD3受容体mRNA(DR)の発現にどのように関与するかを検討した.その結果,TはEと同様にDRの発現を増大させた.一方,アロマターゼ(A)阻害剤レトロゾールによってTの反応は抑制された.このように、TがAを介してEに変換されてDR効果を発揮しているとするなら,骨芽細胞に存在するAがE合成に関与すると推定できる.
|