研究概要 |
本研究は,一つの水系で結びつけられた「流域圏」に着目し,その流域圏における各地域の河川環境の物理的・化学的・生物的・地質的要因を明確にし,それを基盤とした学習材を開発,それをもとに環境問題に対して主体的に取り組むための資質,能力を育成する具体的な環境学習プログラムを考案,実践することを目的として行い,広島県黒瀬川の流域圏において以下の成果を得た。 (1)黒瀬川流域に関する基礎的データの収集を行い,水,生生物64種類(魚類20種,両生類9種,爬虫類4種,甲殻類4種,貝類5種類,昆虫類22種類),黒瀬川流域の各地点の水質の現状,地形,河川形態等を明らかにした。また,河川に関するアンケート調査により,子ども達の川に対する意識を明らかにした。 (2)黒瀬川流域の基礎的データをもとに学習プログラムを考案し,試行的に流域の2校で実践した。これにより,水環境学習はプログラム内容を工夫することで幅広い校種,学年で効果が得られることが明らかにされた。同時に,学校での他の授業・行事との調整の点で幾つかの改善を要する点が抽出された。 (3)以上の成果をふまえ,WEBページ「水環境マップ」の充実をはかった。 (4)試行的な実践の成果をもとに,活動プログラムの評価・改善を行い,黒瀬川流域圏から協力校を募り,小学校1校および中学校1校を選定して実践を行った。各校の授業目標に合わせて改変した内容で実践を行った。また,両校の情報を交換することで,より広範な視野の育成をはかった。その結果,情報交換することでより効果的な展開となることが分かった。ただし,情報交換の媒体については,インターネットを活用する場合は機器等の環境整備が重要なポイントであり,未整備の学校の対策も必要であることが分かった。
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