研究概要 |
研究内容 ・理科,算数・数学の教科書中における時間と位置,速さについての定義とその学習過程の比較分析 ・児童・生徒の時間と位置,速さについての認識調査 ・時間,位置,速さの関係を探究する理科実験モジュール作成 ・試行授業を通してのモジュールの評価 得られた成果 ・教科書分析 大正期の新主義数学導入からある絵グラフと棒グラフ,折れ線グラフの混同が,現在の小学校算数や小学校理科の教科書においても見られる。棒グラフから折れ線グラフへと移行するときに,同様の手法がとられているため,時間と位置,速さについての定義がグラフから行われてはいない。 ・児童・生徒の認識調査 一次関数から時間と関連のある事項を連想することは困難である。これは,一次関数の学習時,時間と関連した事柄が事例としてあげられていないことが原因と予想される。二次関数の方が,時間と関連のある事項を連想しやすい。小学校理科で時間経過を見ながら測定する物理量が,気温や水温などのように曲線でありながらもピークを有する関数に従っていることが原因と予想される。しかし,温度上昇については知識があるものの,温度下降については経験がないため,誤った認識をしている。 ・理科実験モジュールの評価 運動の様子と記録されるデータをリアルタイムに比較できるので,児童・生徒自らが持つ直観的観測の活用とその間違いが明確になる。運動の様子をグラフ化し観察できるので,グラフ読みとりのポイントを児童・生徒同時が,望むだけの回数実験を繰り返して教え合うことが可能である。小学校5年生では,静止状態のグラフ課題を経験することで時間経過についての概念を把握できるが,グラフの横軸を時間として読み取ることは困難である。中学生2年生は,時間経過についての概念把握と,グラフの横軸を時間として読み取り,運動を表現するための時間概念を定着させる上で,モジュールは有効である。
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