研究概要 |
インターネットの普及に伴い,情報の専門教育においてTCP/IPプロトコルの教育が重要になってきた.本研究では,TCP/IPプロトコルに対する従来型の学習方法の問題点を分析し,これらを解決するためにツールの開発を目的とする.本年度は,次の2つのツールの開発を行った. (1)実際の通信データを教材として用い,TCP/IPプロトコルのデータ構造と通信手順を学習するツール (2)TCP/IPの制御方式を学習するために,教科書や講義などでは教授することが困難である複数制御の組み合わせや,実際の通信では発生頻度の低い制御を学習することを目的にしたシュミレーションによる学習ツール 授業に用いて評価を行った結果,データ構造と通信手順の学習ツールについては,次の機能が有効であることが明らかになった. (1)データ構造については実データを用いると理解しやすくなること. (2)特に各層のヘッダごとに,フィールドの内容が1つ1つ説明つきで表示される機能が有効であること. (3)通信手順についても実データを用いて,パケットの送受信方向やパケットの役割の提示が有効であること. 制御方式の学習ツールについては,次の機能が有効であることが明らかになった. (1)再送制御については,「パケットロス」ボタンを押すことによって,いつでも自由にパケットロスを起こせる機能が有効であること. (2)フロー制御については,「バッファフル」ボタンを押すことによって,いつでも自由にフロー制御を発生させる機能が有効であること. 多くの制御について,サーバとクライアント間のパケットの流れが表示される機能が有効であること.
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