研究概要 |
現在総合情報処理センターで進めている,e-Learning環境整備のもとでの,マルチメディアの大量データ配布の研究については,日本e-Learning学会の平成15年度学術講演会を平成16年2月29日に,浜松を主会場とし東京科学技術大学と大阪府立大学を結んで,マルチメディアによる講演の双方向配信を試みた.ここには多くの業者によるe-Learningを対象として大容量通信手法とシステムの提案があった.本研究では,電気通信大学三木教授の提案する手法を双方向通信手段に採用し,その性能を確かめた.その結果,多くの知見が得られた. 本年度の研究では,遠隔授業への参加人数,サーバ資源,回線帯域のバランスをどう取るべきかを検討する実験として,大容量の動画配信を行うための基本技術にIBM社ソフトP2G(Peer-to-Grid)に着目し,ユニ・キャストおよびマルチキャストとの性能比較を行った.動画情報は,Microsoft社ソフトWME(Windows Media Encoder)を用いて,WMV(Windows Media Video)形式にエンコード後,数種のネットワークパターンに対してそのパフォーマンス,クライアント側の動作安定性,画像の劣化等の比較実験を行った.静岡大学の構内GBLANを用い,PC 10台をグリッドコンピュータとしてさまざまな組み合わせにて性能を評価した.その結果,トラフィック制御にグリッドコンピューティングの考え方をうまく用いることにより,高い性能を得ることが確認された.一方,遠隔講義などにおける事業管理手法の研究は続行し,神奈川大学との共同で論文としてまとめた.論文成果として,「授業管理支援システムWebLecの開発と複数大学における運用」がある.本論文は大規模(大人数かつ多くの遠隔講義が同時進行する場合の授業管理手法に関する研究である.遠隔講義が定着した場合不可欠な技術となる.学生が自宅から大学の計算資源を利用して,グラフィカルユーザインターフェースを用いた科学技術計算を行うことを想定し,グラフィカルユーザインターフェースによるネットワークの負荷と計算資源への負荷について調査を行った.遠隔地でグラフィカルユーザインターフェースを実現するため,描画サーバとしてXVNCサーバを用意し,ユーザはVNCクライアントおよびXVNCサーバを通じて計算資源へのアクセスを行った.VNCを用いたことにより,100人程度であれば,静岡大学の対外回線の帯域は100Mbps程度で足りるが,XVNCサーバが過負荷になる可能性があることが分かった.今後は,人数,サーバ資源,回線帯域のバランスをどう取るべきかを検討すべきであることが課題として残った.
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