研究概要 |
本研究では,動画を使ったドイツ語の聞き取り訓練用の教材を開発することが主目標である。平成15年度に撮影したドイツ人教員のインタビューのビデオ映像をPCに取り込み,ノンリニア編集して,Web上で公開できる形に加工した。さらにこのビデオ素材をWebベースの教材プラットフォームであるWeb Exerciseに組み込み,ドイツ語の聞き取り訓練用の教材を作成して,我々が担当するドイツ語の授業で実際に使いながらその効果を検証した。 「音声中心によるドイツ語能力向上のための学習法-言語の学習と記憶-」では,ドイツ語の総合成績優秀者の方が概して聞き取りの成績がよいこと,また問題の内容を難しくすると,その聞き取りの差がより顕著に出ることが確かめられた。また同レベルの内容でも,スピードを高めるにしたがって,総合成績の低い者から順次聞き取れる量が減っていき,聞き取り能力の差が一層明瞭になったことが確証された。また「WebCTのテスト機能について」では,九州大学のeラーニングの共通基盤として平成14年度から導入が進められているWebCTのテスト機能について,現在我々が使用しているWBT(Web Based Training)システムであるWeb Exerciseと比較しながら,外国語教育におけるWebCTの可能性と課題について考察した。 以上のことから,学習者にとってより使いやすいシステムの構築を追究すると同時に,教材の内容面では,スピードの段階をより細かくして,順次慣れさせたり,単語力・文章力を高める訓練を平行しながら,聞き取り練習を行うなど,聞き取れない程度や内容によって,練習問題および試験問題を改良した。このように,各学習者の弱点ごとに対応したことにより,以前よりも早く,しかも多くの者の聞き取り能力が向上し,かなりの成果をあげることができた。
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