研究概要 |
Playful Spiritをデザイン・エンジンとした「Playfulな学びの空間」として英語プレイショップ、音楽プレイショップなどを実践した。既存の文化を超えた創造的な学びを「状況に埋め込まれた、分散協調的、創発的なプロセス」と捉え、参加者もまわりも相互浸透的に変容する状況が立ち現れてくることを重視した。 その結果、様々な学習観、表現観の変容が観察された(宮田他、2004)。例えば、英語プレイショップでは、参加した小学生は「間違えると恥ずかしい」という意識がなくなり、外国人と全身でコミューケションするようになった。音楽プレイショップでは「楽譜を既成の楽器で専門家が演奏する音楽」から「組み合わせることで音の可能性を引き出す音楽」へと音楽観が広がった。様々な場面で、参加者の意識が「正解を出す事」から「自分が何かを学ぶ事」へとシフトした事は、Dweck(1986)のいう「固定的知能観」から「増大的知能観」への変化にともなうパフォーマンスゴールからラーニングゴールへの変化と解釈できる。 参加者は、それまでの価値観を包容しつつ超えていく体験により、新しい自分と世界との関わり方を発見した。他者との関係性についても「他者に評価される」ことから「他者と自分の表現を重ね合わせて新しい意味を作り出す」ことにシフトする傾向があった。長期間の異文化連携プロジェクトにおける参加者の発言の分析では、「他者と切り離された存在」から「他者と関わりながら意味を創発していく存在」へ、という自分観の変容と解釈できる変化が観察された。(Miyata,2003、宮田他、2003,2004) これらの分析にもとづき、異文化連携の3段階モデルとサポート構造のモデルを構築した。
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