研究概要 |
聴覚障害者のウェッブ操作特性を抽出するために,ウェッブコンテンツを用いて,眼球運動追跡実験を実施した(15年度).その結果,聴覚障害者はウェッブページ内の隠れた情報構造を読み取ることが困難な場合があることが判明した.このことは,情報の構造と内容がひと目で理解できるデザイン的な仕組みの必要性を示唆している.次に,聴覚障害者のためのデザインガイドラインを作成した(16年度).ガイドラインに沿ってデザインしたウェッブページを用いて再度同じ実験をした結果,聴覚障害者のパフォーマンスが飛躍的に向上したことから,デザインガイドラインが有効であることを証明できた(17年度). 次に,視覚情報に対する聴覚障害者と健聴者の差異の原因を追究するために,注意喚起に関する実験と,文字探索と空間探索の差異をみる実験等を実施した(15・16年度).その結果,聴覚障害者の視覚情報処理特性として,聴覚情報と視覚情報に関わる神経機構が競合しあいながら発達する傾向があるという結論を得た.この特徴は脳内の言語処理活動と深く関係すると考えられる.つまり,聴覚障害者にとってアクセシブルなウェッブコンテンツを実現するためには,文字や手話などによる音声言語情報の保障・補完という考え方だけでは不十分であり,造形ガイドラインの整備が必須である. 視覚障害に関するウェッブガイドラインは,音声情報に置き換える音声ブラウザの能力制限との関係が最も重要であることがわかった.そこで造形ガイドラインを作るのではなく,音声ブラウザと造形的デザインの共存について実践的な取り組みを行った.具体的には,学内護習会の開催(「アクセシブルなホームページづくり」(3時間×6回)学内ホームページ制作担当者10人対象)および,筑波技術大学のホームページの制作を行った,(http://www.tsukuba-tech.ac.jp)
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