研究課題/領域番号 |
15500658
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
科学社会学・科学技術史
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三浦 伸夫 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (20219588)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 実用数学 / 数学史 / 測量術 / 数学器具 / 『レディーズ・ダイアリー』 / 大衆数学 / ウーリッジ王立軍事アカデミー / チャールズ・ハットン / フィロマス / 18世紀英国 |
研究概要 |
1.17末から19世紀前半までの英国の数学愛好者は総称してphilomathとよばれるが、その総数は2-3万人であり、イングランドはもちろん、スコットランドやアイルランドにまで及ぶ。これは同時期のフランス、ドイツ、イタリアには見られない現象である。 2.普及した原因はいくつかあげられる。英国では18世紀になると印刷公刊が制度的に容易になり多くの数学書が公刊され、また行商人が各地でそれを販売し、巡回講義が頻繁に行われそこで販売されたこと。海外進出に伴い航海術が盛んになり、そのための実用数学が広く要請されたこと。北部への開墾が進み、軍事的にも正確な測量術が要求されたこと。産業、商業が展開し、さまざまな計測法の実用書の需要が増大したこと。それらの実用数学を教える学校が設立され、そのための教科書が数多く印刷され、それが相乗効果になって数学愛好者が増えたこと。女性に娯楽としての数学という発想が普及し、女性にも数学が普及したこと、など。 3.彼らは独自の社会的ネットワークを構成し、ハバーマスのいう公共圏が数学界にも適用できる。その中心はThe Ladies Diaryという雑誌であった。The Ladies Diaryに関しては、その価格、普及の度合いなど詳細な研究成果を研究成果報告書に記載。そのほかの雑誌には、The Palladium, The Stockton Beeなどがある。 4.数学愛好者の数学は、ニュートン流の数学ではなく、もっぱら実用数学であった。 5.実用数学のための数学器具がさまざま考案された。このことはフランスでも同じであるが、フランスの器具が豪華、大型、真鍮製で銘が彫られているのに対して、英国のものは小型、木製や象牙製で無名のものが多い。英国では実用器具として大衆に普及したことがわかる。
|