研究概要 |
フランスで刊行中のダランベール全集(詳しい内容については,http://numerix.univ-lyon1.fr/dalembert/参照)の力学に関する論文と主著「動力学論」の一部に注釈を付けること中心に据え,そのためにダランベールならびに18世紀の他の力学関係の科学者,特にオイラーの著作を研究してきた. 今年度は8月20日から9月26日まで日本学術振興会・研究者交流・特定国派遣研究者制度を利用し,フランスのリヨンならびにパリに滞在する機会を得た.この間,リヨン大学では他のダランベール全集刊行に関与する研究者と意見の交換をし,注釈の推敲にあった.また,ダランベールの論敵であるフォンテーンの生誕300年を記念してCuiseauxで行われたコロキアムに参加し,彼の力学露文Principes de l'art de resoudre les problemes sur le mouvement des corpsに関する研究を発表した.そして,この発表をSome Remarks on Alexis Fontaine's Mechanicsと題する論文にまとめ,千里金蘭大学短期大学部紀要に発表した.また,パリではChristiane Vilain氏と18世紀前半における力学の発展状況について意見を交換した. 更に帰国後はVilain氏との議論を基にし,オイラーの剛体の回転理論の確立に関する考察を開始した.今回は特に1730年代の初期回転理論の確立の考察に的を絞り,ヨハン・ベルヌーイの影響の下,如何に今日N=I・dω/dtの形で知られている公式を導いたかを明らかにした.この研究結果を1月3日から6日までダランベール編集委員会によりマルセイユ近郊のLuminyで開かれたセミナーで発表した.
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