研究課題/領域番号 |
15500670
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化財科学
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
堀内 晶子 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (60052289)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 脂質 / ステロール / 土器 / 考古学 / 化学分析 / 栄養 / 縄文時代 / 縄文 / コレステロール / β-シトステロール / カンペステロール / スチグマステロール |
研究概要 |
我々はこれまでに土器モデルを用いた脂質の安定性に関する基礎実験を行い、土器内でグリセリドや脂肪酸は分解するが、ステロール類は安定に存在できることを明らかにしてきた。そこで本研究は、同じ遺跡から出土した縄文土器(加曽利E)の浅鉢と深鉢に残存するステロール類の化学分析を行い、土器の用途と残存量との関係や当時の食生活を検討することにした。 一見なにも付着していないと思われるすべての土器からステロール類が検出された。環境の影響を受けやすい土器表面(土器を原型のまま抽出した脂質)と、環境から隔離され、外部との接触を断たれていると思われる土器深部(一度脂質抽出した土器を粉砕し、再度抽出した脂質)に分けて分析すると、一般的に土器表面より深部に多く脂質が残留し、脂質が付着後土器深部に浸透し残留していることが明らかになった。 従って土器表面を薄く削り落としてからそのまま抽出する従来の方法では多くの脂質が未回収のまま残ることが分かった。 総ステロール量を比較すると、浅鉢の場合口縁部と胴部に少なく、底部に多く残留していた。一方深鉢の場合は、口縁部に少なく、胴部と底部に多く残留していた。この結果は食物を盛るとされる浅鉢の底に脂質が溜まり、煮炊きするとされる深い鉢は底部に食物が残ると同時に汁の上の方にも脂質が吸着するとされる考古学的見地を指示している。植物性ステロールとコレステロールの比を取ると、表面と深部、浅鉢と深鉢の間にいずれも統計的な差は認められず、たとえば深鉢で調理した食物を浅鉢に盛ったなど、同じような食物を扱っていたと考えられる。 縄文土器から検出された植物性ステロールとコレステロールの比の平均値は現代人が食事から摂取する値と同等であり、縄文人も現代人と変わらない食生活を営んでいたと推測できる。
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