研究概要 |
エチオピアのアファー三角帯からエチオピア裂谷,ケニア平原にいたる線状の地域に分布する火山体の地形的特徴とその発達を,地形図・空中写真を用いて明らかにした.アファー三角帯北部の裂谷内部にErta Ale, Tat'Aliなどの溶岩原が約20個あり,その一部のピットクレーターには溶岩湖がある.各溶岩原の大部分には比高500-1000mの楯状火山がのる.アファー三角帯の北東部にはダナキル山地を横切って,山頂カルデラをもつ成層火山が7-8個南北に並ぶ.アファー三角帯から1000-2000m高いエチオピア裂谷底にはDensi,Zuqualaなどの成層火山,Shalla,Awasaなどのカルデラ火山,Budemedaなどの単成火山群が混在し,Wonji地溝帯を厚い噴出物で埋めている.エチオピア裂谷北部のCantale,Galiboldi火山は成層火山・カルデラ火山で火砕流を噴出,山頂に5-10kmのカルデラをもつが,同時に苦鉄質の流動性の高い溶岩を流出,溶岩湖や溶岩原を形成,苦鉄質溶岩を主としたアファー地溝帯と珪長質火砕流堆積物を主としたエチオピア裂谷の火山の中間的性格をもっ.エチオピア裂谷の東縁には標高4000mを超える巨大なBadda楯状火山が存在,山頂には10個ほどのカールが残り,氷蝕や凍結融解作用によって,数本の平行した岩脈が長く連なって露出する.エチオピア裂谷中には新旧の巨大カルデラから噴出した大規模珪長質火砕流堆積物などを切って裂谷中央部を走るWonji断層帯に沿って,いたるところで苦鉄質マグマが噴出,新鮮な地形を保持するスコリア丘列,スパター丘,溶岩原が生じている.これらエチオピア火山体の特徴はアファー地溝帯の地下には大陸地殻はなく,薄い海洋地殻を通してマントルからの苦鉄質マグマが直接噴出しているのに対し,エチオピア裂谷下には陥没した厚い大陸地殻が存在,その中に珪長質マグマ溜まりが生じていること,張力場で生じた割れ目に沿ってマントルから苦鉄質マグマが上昇していることを示唆する.
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