研究課題
基盤研究(C)
サンゴ礁が海面上昇に対してどのようにレスポンスするのかを知ることは、サンゴ礁を海水準の指標として使ううえで重要である。そこで、沖縄のサンゴ礁において、サンゴ礁の上方成長を知る目的で、サンゴの飼育実験を行った。さらに、昨年から継続してフナフチ環礁コア試料およびハワイ大学に保存されているミッドウエイ環礁コア試料の年代測定を行った。沖縄のサンゴ礁でのボーリング結果、ハマサンゴは、1年間で約1-1.5cm上方成長することが明らかになった。さらに、沖縄のサンゴ礁から採取したハマサンゴの飼育実験の結果、サンゴの石灰化速度は、環境水の炭酸カルシウム(アラゴナイト)に対する飽和度と比例関係であることが明らかになった。したがって、大気中の二酸化炭素濃度の上昇は、海水のpHを減少(酸性化)させると伴にアラゴナイトに対する飽和度を減少させるので、サンゴ礁の上方成長を阻害することを水槽実験の結果は示した。フナフチ環礁ポーリングコアのストロンチウム同位体比、放射性炭素を測定し、年代測定を行った。その結果、150万年間で200メートルのサンゴ礁堆積物がフナフチ環礁に堆積したことが明らかになった。また、その堆積過程は連続ではなく、飛び飛びであり、間氷期-氷期のサイクルとの関係が推測された。すなわち、サンゴ礁の上方成長は間氷期にのみ上方成長するというモデルが本研究の結果明らかになった。その研究成果の1部は2004年6月に沖縄で開催された国際サンゴ礁シンポジウムで発表し、その後の分析データを加えて、2006年に印刷公表される予定である。タイ湾およびセブ島のサンゴ礁調査結果は現在データを解析中であり、多くのサンゴ礁のデータをつなぎあわせることによって、過去の海面変動の歴史とサンゴ礁の上方成長、さらに津波に対する防波堤としての役割についても定量的に明らかにし、論文として公表する予定である。
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Proceedings of 10th Coral Reef Symposium (In press)
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