研究課題
基盤研究(C)
日本の代表的な森林構成樹種であるシラカンバ、ダケカンバ、アカマツ、スギに対する高濃度二酸化炭素(CO_2)とオゾン(O_3)の単独および複合影響を調べた。本研究においては、ガス処理区として、外気を活性炭フィルターに通して浄化した浄化大気区、浄化大気に外気と等しい濃度となるようにO_3を常時添加した大気濃度区、大気に外気の1.5倍濃度となるようにO_3を添加した高濃度O_3区、外気の1.5倍濃度となるようにCO_2を添加した高濃度CO_2区、外気の1.5倍濃度のO_3とCO_2を添加した高濃度O_3+CO_2区を設定した。これらの処理区において、二成長期にわたって4樹種の苗木を育成した。なお、CO_2無添加区と1.5倍のCO_2添加区における日中12時間の平均CO_2濃度は、それぞれ379ppmと544ppmであった。外気の1.5倍濃度のO_3処理は、シラカンバ、ダケカンバおよびアカマツの個体乾物成長を低下させた。これに対して、外気の1.5倍濃度のCO_2処理は、4樹種の個体乾物成長を促進した。なお、シラカンバでは、高濃度CO_2処理によって一時的に純光合成速度が促進されたが、しだいにシンク不足や葉の窒素濃度の低下が生じ、その促進効果は長期間にわたって持続しなかった。オゾンと高濃度CO_2の有意な交互効果はシラカンバにおいて発現し、高濃度CO_2条件下では個体乾物成長におけるO_3障害が緩和されることが明らかになった。この原因として、高濃度CO_2条件下においてはシラカンバの気孔開度が低下し、葉内へのオゾン吸収量が減少することが考えられた。本研究によって、オゾンと高濃度二酸化炭素の複合影響には樹種間差異があることが明らかになった。
すべて 2005
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Journal of Agricultural Meteorology 60・6(in press)(未定)
Journal of Agricultural Meteorology 60-6(in press)
Journal of Agricultural Meteorology 60・6(accepted)