研究課題
基盤研究(C)
1.平成15年度においては、爪試料の無標準・無調製分析法が完成し、それはフィリピン等における「有害元素広域的環境汚染に伴う人体暴露評価」研究に応用された。さらに「三検出器同時分析システム」を用いた、フッ素を含む多元素同時定量分析法」を確立し、砒素・水銀等以上に中毒患者が多いと言われているフッ素と、他の元素の相関を調べることが可能となった。本法は、中国におけるフッ素・砒素の複合汚染問題に応用され、毛髪中フッ素濃度と、砒素・マンガン濃度の強い相関が明らかになった。本法はさらに、植物、海産物、菌類、水道水などの分析に応用され、環境科学、食品学等の分野において強力な研究手段としての地位を築いている。2.平成16年度においては、外付けソフト多重波高分析器が導入され、三検出器からの測定データの高速解析システムが確立された。そのため極めて高効率で多試料の分析が可能となり、バングラデッシュ、中国、モンゴル、カザフスタン等の汚染地域住民から採取された2000を超える毛髪、尿、爪の分析が行われ、体内暴露に関する有益な情報を得ることができた。また、毛髪、尿、血液、爪に加え、1μ以下の髄液、唾液、汗、涙、鼻汁の定量分析法が新たに確立され、より多角的な人体暴露評価が可能となっている。さらに、分担者の千葉を中心として日本の沿岸地域住民の食事からの有害元素摂取の調査研究が、本システムを用いて開始された。それに加え、植物の葉、きのこなどの環境試料に対して液体窒素を用い、我々により開発された粉末内部標準法を応用する手法が開発され、これらの試料中の揮発性元素の分析も可能となった。
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