研究課題/領域番号 |
15510030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価・環境政策
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
山口 惠一郎 (山口 恵一郎) 獨協医科大学, 医学部, 講師 (70049211)
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研究分担者 |
反町 健司 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30118476)
高橋 雅典 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (70103356)
瀬尾 直美 東京医科大学, 医学部, 助教授 (90074640)
佐々木 由利 東京医科大学, 医学部, 講師 (60074720)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 環境汚染物質 / ベンゾピレン / 陸棲軟体動物 / チャイロコウラナメクジ / 生体防御 / 両性腺 / 中腸腺 / アルブミン腺 / チャコウラナメクジ |
研究概要 |
環境汚染物質ベンゾピレン(BaP)が陸棲軟体動物に与える影響を明らかにすることが、本研究の目的である。繁殖期直前(冬期)にチャイロコウラナメクジを500ppm BaP環境下で飼育すると、一部の個体(約20%)に体重増加が起きることを昨年度見い出した。今年度においても同様の現象が生じた。この体重増加は卵白腺(アルブミン腺)の肥大が主たる原因であることが、各種臓器の重量比から分った。また、生殖腺や卵白腺の生長が認めがたい夏期にBaP投与を行なっても、体重増加は全ての個体において起きなかった。即ち、BaPは卵白腺の成長に促進効果があると考えられる。次に、どの臓器にBaPが高濃度に取り込まれるかを調べた。予めナメクジをBaP環境下で5週間飼育して、生殖腺、卵白腺、消化管、中腸腺に含まれるBaP濃度を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法で測定した。その結果、中腸腺に他臓器の20倍以上高い濃度のBaPが見い出された。そこで、BaP汚染をナメクジ中腸腺で追及していくことにした。また、本法によれば、BaP検出溶媒をメタノールーベンゼン(3:1)とすると、10^<-3>ppmレベルまで検出できることも判明した。このことはBaP汚染がほんのわずかしか予想されない場合であっても、BaP濃度が測定可能であることを示してはいたが、分析精度をさらに上げる必要がある。次に,顕著なBaP汚染が予想される東京都杉並区の環状八号線沿い(環八産)と汚染がほとんど考えられない栃木県壬生町の住宅地(壬生産)の2箇所で採集したナメクジについて比較した。この2群間において、平均体重はほとんど差が無く、生殖腺、消化管の平均重量についても有意差を共に見い出せなかったが、卵白腺についてのみ、環八産が壬生産よりわずかに有意に重い結果となった(P=0.039)。中腸腺に含まれるBaP濃度の測定を行なったところ、環八産が壬生産より有意にBaP濃度が高いという結果になったものの、BaP濃度検出限界例が多かった。採集地点や検体数を増やす必要があることはいうまでもない。交通量が烈しく多い地域においても、BaP汚染はそれほどひどくはないのではないかという結論に達した。
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