研究概要 |
1.環境試料中の医薬品13種についてGC/MSを用いた分析方法を確立した。 2.東京都内の下水処理場4カ所で3ヶ月に一回の頻度で、流入水並びに二次処理放流水を採取し、13種の医薬品の分析を行った。全ての下水流入水から対象医薬品が検出された。下水流入水中で最高値を示した成分はAspirin(平均は約7300ng/)であった。二次処理放流水中で濃度が最も高かった成分はCrotamitonであった(平均700ng/L)。下水処理過程(一次処理+活性汚泥処理)での除去率はAspirin, Ibuprofen, Thymolでは95%以上であったが、Triclosan, Naproxen, Ketoprofenなどは約50%であり、Propyphenazone, Carbamazepineについては除去が認められなかった。 3.2004年5月に東京都内の多摩川の本流6地点、支流3地点で河川水試料を採取し医薬品をGC-MSにより分析した。また2004年11〜12月にかけて全国一級河川8河川(石狩川、北上川、信濃川、木曽川、淀川、小瀬川、土器川、本明川)で河川水試料を採取し医薬品を分析した。多摩川本流では、中流域から下流域にかけての全ての地点でAspirin, Crotamiton, Naproxen, Mefenamic acid, Dietyltoluamide等多数の医薬品が数ng/L〜数百ng/Lの濃度範囲で検出された。これらの医薬品は主に下水処理放流水から供給されていると考えられた。一方、全国の8河川水中の医薬品濃度は多摩川の数分の一と低濃度であった。低濃度であった理由は、その流域人口に比べて流量が多いためだと思われる。8河川中5河川では全体にAspirinの割合が高かった。これらの河川では下水処理水の影響は小さく、未処理の下水や浄化槽排水などの影響の方が大きいと考えられた。
|