研究概要 |
現在汎用されている無機系凝集剤及び有機高分子系凝集剤は二次公害の点で問題視されている.その欠点を解消・克服するために本研究では天然資源である植物に注目し凝集活性を有するものを探索した.試料としては,アベリア,パイナップルミント,オオバキボウシを始めオカラなど29種類の植物乾燥粉末を用いた.その結果,春ウコン根,青シソ根,オオバキボウシ,タイサンボク,オカラの5種類に凝集活性が検出された.凝集活性が検出されたこれら5種類に対して凝集剤として使用する場合に必要とされる基本的性質について調べた.凝集活性のpH依存性については,いずれも酸性域で凝集活性を発現した.中でもオカラを試料とした場合には比較的広い酸性域で凝集活性が観察された.また,添加量の凝集活性への影響について検討した結果,いずれの植物粉末試料も最適な添加量を有していた.特にオカラは最適添加領域が比較的広く凝集剤として使用するのに最適であることが示唆された.一方,これら植物由来凝集剤の熱安定性について調べたところ,比較的に熱に対して安定なものと不安定なものに大別された.オカラはこれらの中でも熱安定性に優れていた.従って,このオカラに注目しオカラに含まれる凝集活性成分がどのようなものであるのかを明らかにするために凝集活性成分の分離精製を行った.各種クロマトグラフィーにより分離精製した結果,オカラには凝集活性成分が少なくとも2種類は含まれていることが明らかとなった.両者の中で高分子量画分に注目し性状等を調べたところ,分子量が70万以上の多糖の1種であることが明らかとなった.一方,お茶の一種であるインスリーナの水抽出物に対する吸湿・保湿能について調べたところ,吸湿・保湿能は相対湿度の変化に著しく依存しないことが明らかとなった。
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