研究課題
基盤研究(C)
内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)のひとつであるビスフェノールA(BPA)の植物による代謝機構を解明するために、タバコ培養細胞BY-2へBPAを投与した時の代謝産物を同定した。BPAをグルコース配糖体(BispenolA-o-β-D-glucose : BPAG)に代謝する酵素(BisphenolA-glucosyltransferase : BGT)がタバコに存在することをつきとめ、BGTをコードする3種のcDNA (NtG1a, NtIS10a, NtSAGT)を単離した。タバコ植物体においてもNtGT1a、NtISG10a、NtSAGTが発現しており、ノーザン分析の結果、NtIS10aとNtSAGTについては葉でも根でも強い発現が見られていた。以上のことから、タバコ植物体では葉においてNtIS10aかNtSAGTがBGT活性を支配していると推測された。さらにこの3種の遺伝子のうち、いずれの遺伝子の発現がBGT活性に与える影響が大きいのかを調べるため、BGTの過剰発現体を作成し、それぞれのcDNAを導入した過剰発現体のBGTの活性とBPAの吸収量の相関を調べることとした。Cauliflower mosaic virus 35S promoterの顆粒にそれぞれのcDNAを結合したpBI121を作製し、アグロバクテリウム法でシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana (L.) Heynh)の生態型Columbia (Co1-0)へ導入した過剰発現体を作出した。カナマイシン選抜とクリーンPCRによる選抜を行い、導入遺伝子の存在が確認されたT2世代の過剰発現体を用い、機能解析を行った。BGTの比活性を算出したところ、野生型Co1-0と比較し、1.5〜6.3倍の活性上昇が確認された。したがって、過剰発現体の作出に成功したと推測できた。
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Phytochemistry 65
ページ: 1383-1387
Environ. Tox. Chem. 22
ページ: 2275-2279
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