| 研究概要 |
本研究では、酸化物イオン伝導体として知られているSm_xCe_<1-x>O_<2-x/2>、Gd_xCe_<1-x>0O_<2-x/2>とn型半導体として知られているHo_xCe_<1-x>O_<2-x/2>12及びTb_xCe_<1-x>O_<2-x/2>(x=0.05,0.1,0.15,0.2,0.25)の合計20種類の易焼結性ナノ粉末の合成とその焼結体作成ならびに焼結体物性とナノ構造の特徴に関する相関性の評価を行った。炭酸塩共沈法により作製した球状粉末は、平均粒径30-40nm程度であり、1400℃の常圧焼結により、相対密度95%以上に高密度化させたものを用いた。
直流導電率の組成依存性と、透過型電子顕微鏡(TEM)によるナノ構造観察結果を比較したところ、酸化物イオン伝導体として知られているSm_xCe_<1-x>O_<2-x/2>及びGd_xCe_<1-x>0O_<2-x/2>系では、観察したすべて焼結体試料において、秩序化した酸素欠陥を持つマイクロドメインが観察され、その数と量が増加するに従い、導電率は低下する傾向を示した。
一方、n型半導体として知られるHo_xCe_<1-x>O_<2-x/2>及びTb_xCe_<1-x>O_<2-x/2>系では、観察したすべて焼結体試料において、Ce3+を多量に含み、ドーパントが8-9at%程度、微小領域(数nm-10nm程度)にへん在した析出物が観察された。(マイクロドメイン中のドーパントのへん在量は、2-3atCe_<1-x>O_<2-x/2>程度であり、Ce3+の混在量もわずかであった。)このように、析出物を含む場合は、n型半導体特性が現れやすくなる傾向を示した。
以上の結果から、ナノ構造の特徴を精査しながら、セリア系固体電解質の性能を設計することが、極めて重要であることが分かった。
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