研究概要 |
1、銅酸化物系における最単純反強磁性絶縁体のCuOが強い格子・スピン相関系であることを発見し、CuOに正孔をドーピングし、CuOは他の反強磁性体NiO等よりもキャリアドープによる反強磁性の抑制が著しいことを見出し、更に高濃度ドープ試料においてチャージ・ストライプのような電荷秩序を観察した。また磁気相の分離という証拠をμSR測定により得ている。これにより最単純銅酸化物におけるチャージ・ストライプを発見した『発表論文1-4』。 2、CuO及びLa_2CuO_4のナノ粒子を作製し、ナノサイズによるそれぞれの磁性変化を調べた。その結果、CuOのナノ粒子において臨界温度(ネール温度)が激減するという新しい実験結果を得ており、ナノ磁性体の臨界温度が微減に止まるという今までの定見を覆した『論文9,14』。 3、天然銅酸化物Cu_2Cl(OH)_3において強い格子・スピンの相関を見出し、更に幾何学的フラストレーションによって長距離磁気秩序とスピン揺らぎの共存という新しい結果を得た。幾何学的フラストレーションに関してはスピンアイスのような希土類物質系が強い関心を集めている。本研究によって新規のd電子幾何学的フラストレーション系が発見された『5,6,10,11,15』。 4、本研究の実施中、想定外の応用新規物性も発見した。銅アルミ酸化物CuAlO_2というP型透明半導体がオゾンガスに電気抵抗で敏感に反応し室温オゾンガスセンサに成りうることを発見した『8』。また、本研究で培われた物質合成及び結晶成長の経験が機能性材料の開発及び他の物性研究にも役立った『7,12,13』。 成果のうち、2003-2004年度においてすでに15編の学術論文をPhysical Review Letters、Physical Review B、Applied Physics Letters等の物理学まもたは応用物理学論文誌に公表しくは印刷中である。いずれも初めての報告であり、オリジナルな発見を多く含んでいる。
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