研究概要 |
パルスレーザアブレーション(PLA)法によるCNT生成時に,CNTの特性をその場測定する事を目的としてラマン分光システムの開発を行った.反応管の外側からラマン分光計測を可能にするため長焦点距離対物レンズを用い,レーザ入射光学系と散乱光集光系が同軸型のラマンプローブを作製した。ラマン光はノッチフィルター,30cmシングル回折格子分光器,半導体グリーンレーザ(λ=532nm,100mW),及びICCDカメラを用いて測定した。本装置でグラファイトのラマンスペクトルを測定した結果,G-,D-バンドのラマンスペクトルは観測可能であったが,検出器の感度,及びノッチフィルターによるレーリー光除去率などの限界から,本システムではSWNTのRBMの測定は困難であった。CNT生成は1000℃以上で行われるため黒体放射による背景光強度が高く,パルスレーザ励起のパルスラマン分光や高感度の計測システムが必要である。 一方,メタンガス,エタノール,アセトンなどを炭素源としたCVD法において,気相中でPLA法によりNi, Coなどの金属ターゲットをアブレーションして触媒ナノ微粒子を供給する複合プロセスを提案した。この際,反応管内にHe-Neレーザ光を入射し,その透過率から反応管内で生成されるカーボン微粒子の生成量,及び時間変化を評価した。計測においては1μm以上の煤粒子による散乱が支配的であるが,炭素源の種類,反応管ガス温度,キャリアガス流量の違いによって,レーザ光の透過率が異なり,煤の生成量や時間変化が大きく異なることがわかった.光の透過率の測定は簡単な方法で煤形成の状態がモニターできるため,CNTの収率増加などのプロセス最適化において有効であるといえる。
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