研究課題/領域番号 |
15510109
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
マイクロ・ナノデバイス
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西口 規彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40175518)
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研究分担者 |
浅野 泰寛 (浅野 泰弘) 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20271637)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ナノエレクトロメカニカル系 / 単電子トランジスタ / 変形ブロッケード / ナノ電気機械系 / ブロッケード現象 / 変形効果 |
研究概要 |
橋梁構造の力学的な不安定性と、その上に作製された単電子トランジスタとの相互作用による新たな電子輸送に関するブロッケード現象を理論により明らかにし、その現象を考慮した電気伝導特性を導いた。具体的には以下の通りである。:ソース・ドレインおよび量子ドットと基盤間に加えられたゲート電圧により、橋梁部分に静電力が働き基盤方向へたわむ。この構造の変化がゲートキャパシタンスの増加を生じさせ、電子の伝導特性を変化させる。ゲート電圧をさらに増加させると、静電力と均衡を保っていた弾性的な復元力が限界に達し、力学的な不安定性が生じる。この臨界電圧を超えると橋梁部分は突然に基盤へ落下する。両者の間に電荷の移動がなければ、両者は印加電圧が解放されるまで静電力により、くっついた状態が維持される。この臨界状態の近傍では、構造の柔軟性は著しく低下し、外力に対し過敏に応答する。トンネル伝導により量子ドット上の電子数が変化すると、それに応じて量子ドットに働く静電力は不連続に変化する。構造不安定臨界電圧近傍では、この微小な静電力の変化により、橋梁部分が大きく変位する。そのため、量子ドットの基盤からの平衡距離は余剰電子数に依存して不連続に減少し、量子ドットと基盤間の静電容量を増加させる。量子ドットの電子輸送特性は、量子ドットとソース電極、ドレイン電極およびゲート電極間との静電容量によって決定されるため、量子ドット・ゲート電極間の静電容量の変化は電子のトンネル条件を変えることとなる。すなわち、ソースまたはドレインと量子ドット間のトンネル透過の生じるソース・ドレイン電圧とゲート電圧に関する条件が、電子がソース電極から量子ドットに入ってくる場合と、その電子がドレイン電極へ出て行く場合とで異なることになる。オーソドックス理論から予備的な計算をすると、電子がトンネル効果でソースから量子ドットへトンネルした後、構造変形のためドット内の化学ポテンシャルが低下し、ドレインへのトンネル透過の条件が満足されなくなることがソース・ドレイン間の電位差が小さい場合に生じることが判った。また、先に量子ドットからドレインへ電子がトンネルした後に、構造変形のため量子ドット内の化学ポテンシャルが増加しトンネル透過に対して新たなバリアーとして働くことが判った。これらの解析から、トンネル透過の条件の変化はソース・ドレイン間の電位差が小さい場合、すなわちゼロバイアス近傍の電気伝導特性に著しい効果を及ぼすことが判った。ソース・ドレイン間の電位差が小さい場合、コンダクタンスはゼロとなり、構造の変形が新たなブロッケード現象を引き起こすと期待される。
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