研究概要 |
本研究は、レーザ光と超音波の放射力を相補的に用いることによって、ミクロンサイズの微小粒子に対する高度なマニピュレーションが可能な全く新しいマニピュレータ(LUMM:Laser Ultrasonic Micromanipulator)の高機能化と、液滴のマニピュレーションやミクロ計測への可能性を追求することを目的として,平成15年4月より平成16年3月までの2年間行ったもので,以下のような成果と見通しが得られた。 1.圧電基板上の板波を利用するマニピュレーションの検討: 圧電基板上に設けた一方向性インターディジタル電極で板波(ラム波)を励起し、板波の放射力とレーザ光の放射力を相補的に用いたマニピュレーションの実現の可能性を検討した。 2.極微量液滴のマニピュレーションの実験: 6MHz帯のLamb波を圧電基板上に励起し、極微量液滴の1次元移送実験を行い、微小流体制御(Microfluidics)への応用の可能性を検討した。また、UV接着技術を用いて12個のウエッジトラスジューサをガラス基板上に配置した構造のマニピュレータを試作し,液滴をガラス基板上でxy方向に移送する2次元マニピュレーションの実験に成功した。 3.視覚制御を用いた液滴の2次元マニピュレーションの検討: PCに画像処理ボードを組み込み、ビジュアルフィードバック技術を用いて液滴の2次元的マニピュレーションを行うためのシステムを完成させた。PCのGUI画面上で液滴の目標座標を指定すると,液滴が目標位置に移動することに成功した。 4.液滴の温度上昇の検討: マニピュレーションで生ずる液滴の温度上昇について検討し,50MHz帯の実験に比べて温度上昇が低いことを明らかにした。
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