研究概要 |
日本の金型産業は,地域に分散し生産設備が不十分な中小企業が中心となっているため,地域金型企業体のようなネットワーク統合型生産システムを構築し,企業群の相互情報に基づいた適切な部品外注方式と金型受注方式を考え,最適な企業間作業分散による受注量増加と短納期化を目指す必要がある.本研究では,生産設備の有効利用と短納期を目指し,個別企業が最適な外注部品選択を行う外注部品選択システムおよび共同受注金型を地域企業体に最適配分する金型配分システムを開発した. (1)受注金型情報を用いて仮スケジュールを組み,1日毎の外注部品を選択し実スケジュールを確定する外注部品選択システムを開発した. (2)金型企業を対象としたシミュレーション実験から,以下のことを明らかにした.1)仮スケジュール日数の増加は,加工メイクスパンの短縮に有効である.2)仮スケジュールと実スケジュールには,組立時刻を意識した金型単位のスケジューリング法が加工メイクスパン短縮に有効であり,外注部品選択方法は,納期遅れを起こした部品の中から納期の早い順に選択する方法が有効である. (3)複数の金型企業で構成され一括組立金型の共同受注を行う統合型生産システムを開発した.本システムでは、独立した日程計画を立案可能な各企業のスケジューリングシステムを統合し、共同受注金型を各企業に配分する。また、受注金型を各企業へ配分する配分規則Rule1〜4が統合型生産システムの生産効率に及ぼす影響を解析した。Rule1:受注順に各企業に配分する,Rule2:金型受注時点で各企業内の総残作業量が最小の企業に配分する,Rule3:金型受注時点で各企業内のネックとなっている機械の総残作業量が最小の企業に配分する,Rule4:仮スケジュールを組みシステム特性が優れた企業に配分する. (4)シミュレーション実験から、企業が独立生産する場合と比較して、平均機械稼働率R=87〜61%の場合、平均メイクスパン比は2.5〜0.3減少する.
|