研究概要 |
本研究の目的は,高性能を実現するために,これまでの研究成果に基づき得られた,データマイニングモデルを新しく統合し,CRMビジネスモデルのプロトタイプを構築することであった. 平成15年度には、この研究目的を達成するのに必要なモデルの最適性を保証するために,確率感度解析理論の応用による新しい最適化手法を導出し,不連続性を有する目的関数に対して,局所的なノイズ情報を用いて最適解を探索できる確率的探索アルゴリズムを提案した.研究成果は"Stochastic sensitivity analysis for computing Greeks"(共著)として国際学術会議SAMO2004(2004年3月)に発表した.本研究に関連して民間企業から提供を受けた携帯ウェブサイトの通信販売のログデータに対しては,研究代表者が指導中の大学院生等と共同で携帯通販の分析モデル構築のための事例研究を実施して,研究成果を学術論文「携帯端末を用いたオンラインショッピングの特性」として,日本ダイレクトマーケティング学会誌Direct Marketing Review(Vol.3,pp.29-41,2004)に掲載した.また,フランス政府派遣のポストドクとLattice理論を取り入れた新しい相関ルール発見アルゴリズムの共同研究を実施し,論文"Mining association rules using lattice theory"(共著)が京都大学数理解析研究所講究録(1351,pp.122-133,2004)に採録された.また,大学院生と共同で論文"A robust boosting method using zero-one loss function : SNRBoost"(共著)が京都大学数理解析研究所講究録(1351,pp.106-121,2004)に採録された. 平成16年度においては,モデル統合手法としてのブースティングについての新しいアルゴリズムを開発し,研究成果の一部は学術論文"A Robust Boosting Method for Mislabeled Data"(共著)としてJournal of the Operations Research Society of Japan(Vol.47,pp.182-196,2004)に掲載された.この研究成果は,研究代表者の指導する博士課程大学院生のブースティングを主題とする博士論文にまとめられ学位請求の予定である. 顧客セグメンテーションについては,日本ダイレクトマーケティング学会の自主研究プロジェクトを実施(2004年4月〜8月)し,データマイニングの統合モデルと従来のRFMモデルとの比較検証を行い,CRMビジネスモデルに必要とされる性能面からデータマイニング統合モデルの優位性を明らかにした. 研究分担者の吉田教授,鈴木助教授とはCRMビジネスモデルのプロトタイプの試作と性能評価を実施した.
|