研究概要 |
1.平成15年には,TCP/IP通信技術を利用して駐車場とその周辺の交通流とを相互に依存させたシミュレーターを開発した.これは日本OR学会平成17年度中部支部研究発表会で公表されている.平成16年には,道路の新設・廃線などによる交通流の変化を見るために道路の追加削除機能を持たせ,また直交道路網だけでなく斜め道路も組み込んだ.これらはまだ試作段階であり,さらに検討を加えた上で公表する予定である.さらに,より大規模な道路網を扱えるようにするために複数のCPUを通信させた交通流の再現を目指す. 2.名古屋に実在する私鉄の名古屋駅構内の群衆流動のシミュレーターをセルオートマトン法によって作成した.この成果は,2005年日本オペレーションズ学会春期研究発表会で公表されている.本シュミレーターでは,駅コンコース内の歩行者流動が再現された.また,駅構内の各種施設の追加削除に伴う歩行者流動の変化を見ることが出来るようになっている.今後実測データに基づいた数値的な検討を加えた上で,論文として投稿する予定である. 3.基本セル・オートマトンを離散力学系の側面から数学的に解析し,G.BragaらのC3クラスに属するセル・オートマトンが生成する時空間パターンの長さの挙動について解明した.またルール番号202,216,234,248のセル・オートマトンが生成する時空間パターンの興味深い振る舞いを見出しWolframの分類方法が不十分であることを指摘した.これらのことはFumio Ohi and Kosuke Mabuchi, Time-Space Pattern and Dynamics Determined by Elementary Cellular Automata, Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics, Vol.21(2004),pp.1-24に公表されている.さらにルール146のセルオートマトンの性質を明らかにすることを試みた.この成果は,京都大学数理解析研究所講究録1373に公表済みである. 4.カオス結合系はセルオートマトンの状態空間を連続体にしたものとして考えることが出来る.これを社会現象の一つである世論形成の文脈で解釈をしたうえで分岐図をシミュレーションによって描き,通常の区間力学系では見られないものを得た.これらは,京都大学数理解析研究所講究録に公表される予定である。 5.ATM高速情報通信ネットワークシステムの解析によく用いられているポーリングシステムの解析を行い,マルコフポーリングシステムに対し大偏差限界を求め,Admission Controlのアルゴリズムを与えた.この成果はジャーナルAnnals of Operation Researchに公表される予定である.
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