研究概要 |
本研究では,需要の非定常変動などの状況変化に対して,生産システムのパラメータの制御や再構成も状況に応じて制御する,再構成可能生産システムの機動的管理方式の開発と有効性の検討を行った. まず,平成15年度は,動的なラインバランシングとバッファサイズの設定による需要の非定常変動への適応について研究した.益々激しくなる生産環境の変化に対応するために,適応型のかんばん方式やconstant work-in-process(CONWIP)方式が提案されている.それらの方式では,需要の時系列データから需要の非定常変動を検知し,かんばん枚数やそれに連動してバッファサイズを制御することにより適応している.しかし,バッファサイズのみの制御では,変動に対する適応力に限界がある.このことからまず,まず,平均や分散が時間とともに変化する非定常な現象のモデル化について検討し,それに対する検知・調整機能を開発した.需要の非定常変動に対してバッファサイズの設定と同時に,ラインバランシングを動的に行うことにより適応する方式を提案し,シミュレーション実験により有効性を明らかにした. さらに,平成16,17年度では,ニューロ適応型生産システムについて研究した.需要の非定常変動に対する検知や調整が迅速に行われるかどうかは,性能に大きく影響を与えることが考えられる.特に工程編成を必要とする非定常変動の検知が迅速かどうかは,性能に大きく影響することが想定される.このことから,非定常変化などを迅速に検知するために,ニューラルネットワークの応用を検討した.ニューラルネットワークを需要の非定常変動の検知に応用し,検知した非定常変動に対して,バッファサイズの設定と同時にラインバランシングを動的に行う生産システムをニューロ適用型生産システムと呼び,そのシステムの開発を行った.開発したニューロ適用型生産システムに対するシミュレーション実験により有効性を明らかにした.
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