研究概要 |
統合安全監視ICチップの開発のために必要な要素技術の研究を行い,良好な結果を得ることが出来た。以下にその成果概要を報告する。 1.電圧制御発信器(VCO)を用いて1MHzの高周波で動作するディジタル制御方式DC-DCコンバータの出力特性と設計手順を明らかにした。それによれば,提案方式は静特性および動特性共に優れていることが明らかになった。また,10mV以下の出力電圧の設定ができ,積分動作範囲内では定常偏差が生じないことを確認した。さらに,オーバシュートは0.1V以内に抑制され,収束時間も非常に短いことが分かった。 2.P-I-D制御,最小位相FIRフィルタおよび移動平均を用いた各ディジタル制御方式をDSPにより構成した場合の各制御係数と降圧形DC-DCコンバータの出力電圧安定化特性の関係を明らかにする.さらに,リミットサイクルに基づく振動現象を抑制するという観点からディジタル制御の方式およびその制御係数の比較検討を行う.その結果,量子化幅が約80mVの8ビットのA/D変換器を用いた場合,最小位相FIRフィルタおよび移動平均ではほぼ同様の良好な結果が得られ,10Vの目標値に対して軽負荷時から定格2Aまでの変化に対して1.3%以下の良好な出力電圧安定化特性が実現でき,さらに振動は20mV以下に抑制できることが分かった.P-I-D制御方式では,十分な出力電圧安定化特性は得られたが,そこまで振動を抑制することはできなかった. 3.情報通信用システムのための新しい火災検知のための動画像処理に基づくシステムについて検討した。提案のシステムは,カメラ,動画像処理部,画像認識部の組合せを複数個組み合わせて統合的に監視するためのものである。また,これらのシステムにおいて積分処理やオプティカルフローアルゴリズムが有効であることを明らかにした。
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