研究概要 |
情報科学の分野では,計算機の高速メモリにおけるページの平均滞留時間という評価基準に関する研究を行ってきた,これに関する研究成果は2005年7月に開催予定の国際会議IFORSにおいて発表予定である.経営科学と情報科学の分野では,バッチサイズとジョブの順序付けを同時に決定する問題が,過去20年余り,主に確実性下の問題として研究されてきている.この問題を不確実性下の問題に発展させた過去の研究では,ジョブ数nが4以下の場合の最適解は得られていたが,任意のnに対する最適解の一般的な性質が得られていなかった,問題は「処理時間は既知で一定のn個のジョブを複数のバッチに分割して処理する.準備時間は未知で,事前分布が与えられているものとする.バッチサイズを決定して準備時間を観測し,バッチ処理を行う.得られた情報を用いて学習を行い,この過程を繰り返していく.目的は各ジョブの完了時刻の総和を最小にすること」である.この問題を動的計画法を用いて理論的に解析を行った.まず同一ジョブのみでバッチサイズのみを決定する問題に関する研究を行い,最適解の構造を理論的に明らかにし,一連の補題を導き出した.この結果は日本OR学会2004年度秋季研究発表会において研究発表を行い,さらにバッチサイズを2以下に限定した場合に対する結果を,京都大学数理解析研究所の研究集会「不確実性科学と意思決定の数理と応用」において研究発表を行った.また日本OR学会「不確実性理論の経営科学への応用」研究部会に出席して研究発表を行い,また情報の収集と意見交換を行った.異なるジョブの場合には,問題は少し複雑になるが,この場合についても理論的な解析を行ってきており,ある程度の成果が得られてきた.これらに関する研究の一部は,日本OR学会2005年度春季研究発表会において研究発表を行った.さらにゲーム理論と探索理論の分野では,学術雑誌に論文3編を掲載し,またアメリカ合衆国アリゾナ州での国際会議で研究発表を行った.
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