研究概要 |
強震動予測のための特性化震源モデルの高精度化をめざして,強震動生成領域とアスペリティの関係,及び動力学的な震源パラメタの空間分布やその値についての検討を行った. (1)運動学的震源モデルの収集 強震記録等を用いた震源インバージョンによって得られた詳細な運動学的震源モデルを継続して収集した.昨年度収集したものに加えて2003年十勝沖地震の震源モデルを収集するとともに,2002年アラスカ・デナリ地震,2004年中越地震等の分析を行った. (2)断層面上の動力学的パラメタの推定 すべりの時空間分布から応力の時空間分布を推定するBouchon(1997)の手法に基づき,断層面上でのせん断応力の時空間分布を推定した.サブ断層におけるせん断応力の時間関数から,静的応力降下量,動的応力降下量,実効応力を定義に従って推定した.Dc,破壊応カレベル,Gcなどの動的パラメタも求めた.これらから,アスペリティ領域における,実効応力は20MPa,背景領域は5MPaであり,やや深さ依存性を持っていることがあきらかとなった。 (3)スラブ内地震・プレート境界地震の強震動生成領域とアスペリティの関係 2002年5月の宮城県沖地震(スラブ内地震)の広帯域シミュレーションにより,広帯域地震動を生成する領域と波形インバージョンによって得られているアスペリティが対応していることがわかった.同様の分析をプレート境界地震にも適用し,対応がみられた.特性化震源モデルの考え方が地震タイプによらず使えることを示している.これらの研究成果を公表した.
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