研究概要 |
全国地形・地盤ディジタルマップを利用して,以下の4種類のハザードの評価手法を開発した。 1)地盤の平均S波速度分布の推定 日本全国の任意の地点での地盤増幅特性を評価するために,S波速度資料が得られている全国約2000地点について,深さ30mまでの地盤の平均S波速度(AVS30)と微地形区分との関係を検討した。その結果,微地形ごとのAVS30は,地形分類,標高,傾斜,古い時代に形成された山地・丘陵からの距離を説明変量とした回帰式を構築し,AVS30が比較的精度良く推定できることを示した。 2.液状化危険度予測手法の開発 全国の液状化危険度を大まかに予測することを目的として,研究代表者がこれまでに提案した微地形による液状化危険度のクライテリアを用いて,液状化危険度を予測する手法を開発した。 3.日本全国の潜在的侵食速度分布の推定 全国の山地の崩れやすさの広域評価手法の開発土砂災害の素因となる「山地の崩れやすさ」を広域で把握することを目的として,ダム堆砂量の全国的データベースを新たに構築し,堆砂グラフから計測された比堆砂量と地質や標高データから計測された各種地形量との関係,荒廃地域の有無による地形量や比堆砂量の違いを示した。それらの結果に基づいて,全国地形・地盤ディジタルマップに含まれる平均メッシュ傾斜と表層地質を用いて,ダムの比堆砂量を簡便に推定する手法を開発した。 4.高潮や洪水氾濫による浸水域の予測 全国の水害危険度を大まかに予測することを目的として,全国地形・地盤ディジタルマップの地形分類データを利用して,大矢雅彦の手法を適用して水害危険度マップの作成手法を開発した。
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