研究概要 |
i)大腸菌体内で簡単に大量にタンパク質をSUMO化する方法を開発した(Uchimura Y. et al.,Anal.Biochem.,2004)。この方法によりRanGAP1,RanBP2,PML (Promyelocytic leukemia), p53,Thymine DNA Glycosylase (TDG), TONAS1/2といったタンパク質を大量にSUMO化した。SUMO化タンパク質と結合するタンパク質として、ヒストンメチル化酵素、ヒストンシャペロンや転写調節因子など多くのクロマチンリモデリング因子が同定され、SUMO化のシグナルがクロマチンリモデリングを介して下流に伝達される経路が明らかとなった(未発表)。 ii)核膜孔タンパク質RanBP2が有するSUMO E3リガーゼの活性化機構をSUMO E2酵素Ubc9との相互作用の観点から詳細に検討した。2つのUbc9結合領域によりUbc9にアロステリック効果を引き起こすことがE3活性に重要であることを示した(Pichler et al.,Nat.Struc. & Mol.Biol.,2004)。 iii)Aosl-Uba2を融合させたタンパク質AUを人工的に作製し、それの酵素活性を測定したところ、Aosl/Uba2ヘテロダイマーと同様の活性を示した。このことは、サブユニット構造がE1活性に必須でないことを示唆するものである(Uchimura Y. et al.,FEBS Lett.,2004)。 iv)HiS-SUMO-1をコードするDNA断片を取り込んだマウス3系統を確立し、それぞれの胎児においてHis-SUMO-1タンパク質の発現を検討したが、ウエスタン法による発現の確認はできなかった。発現量が少ないか、あるいは組織特異的な発現のため検出が困難である可能性が示唆された(未発表)。
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