研究課題/領域番号 |
15520004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
桑原 直巳 (桑原 直己) 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (20178156)
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研究分担者 |
秋山 学 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (80231843)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 愛 / 修道生活 / 隠修士 / 共住修道院 / 東方キリスト教 / 神化 / トマス・アクィナス / ニケタス・ステタトス / ペラギウス / 東方修道制 / 正義 / 神の像 / クレメンス / フィロカリア / 兄弟的矯正 / 説教 / 托鉢修道会 / 東方キリスト教典礼 |
研究概要 |
本課題に取り組むにあたり、研究代表者桑原は、博士学位論文をもとに出版した著書『トマス・アクィナスにおける「愛」と「正義」』におけるトマス倫理学の全体構造の解明から得られた知見を基礎とし、「非主我的な愛の倫理」のモデルをトマス倫理学の中核概念である「神愛caritas」の概念に求めるところから出発した。トマスに関連しては、15年度にまず2本の論文において神愛を支える基盤としての「修道生活」に対するトマスの視座を解明した。 修道制についての包括的な研究を展開する上で、特に東方修道制における霊性に視野を広げることを心がけた。16年度には11世紀の神学者にして東方ストゥディオス修道院の修道士であったニケタス・ステタトスの霊性観について、東方キリスト教学会会誌『エイコーン』に論文として発表し、同論文をもとに、17年7月にメルボルンで開催された環太平洋西岸教父学会でも、西方的な霊性との対比と日本における東方キリスト教についての研究状況にも触れつつ発表した。 さらには、かかる東方修道制への視野の拡大を踏まえた上で、改めて東西を含めた修道霊性に関する通史的な展望を跡づけ、トマス自身が属する西方中世における托鉢修道会に至るまでの修道制の展開の意義を位置づけ直す視点を切りひらいた。16年度には、トマスにおける東方修道制の霊性の影響としての「神化deificatio」の意義を解明すべく、『神学大全』における「神の像imago Dei」の概念についての論文をまとめた。17年には、ペラギウス論争が東西キリスト教の神学および霊性におけるパラダイムの分かれ目として有していた意義について指摘した。さらに、修道制の歴史の原初にまで遡り、修道生活における独住と共住という生活様式の相違が持つ意味を、独住の隠修士の理想像として伝えられてきたアントニオスと、共住修道院の確立者であるバシレイオスにおいて検討した。最後に、個別論文に収めきれなかった修道院霊性に関する通史的な展望については、最終的に研究成果報告書において示した。 なお研究分担者秋山は、東方キリスト教修道院における典礼、初期ギリシア教父アレクサンドリアのクレメンスの教育思想・東方の教会法について解明を進めるとともに、ハンガリーにおける修道制の歴史について、現地に赴いて調査、研究を進めた。
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