研究課題/領域番号 |
15520017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
杉山 直樹 学習院大学, 文学部・哲学科, 助教授 (50274189)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | フランス哲学 / フランス・スピリチュアリスム / 19世紀心理学 / J.S.ミル / リボー / 19世紀フランス哲学 / テーヌ |
研究概要 |
本研究は、1860年代から80年代にかけてのフランス哲学の展開を、イギリスの特に心理学を中心とした学問の導入との関連において考察した。 明らかになった主な点は以下の通りである。 1.経験主義的認識論者としてのJ.S.ミルの思想は、60年代においてテーヌやペス、カゼルたちによってフランスに積極的に導入され、クーザン以来のフランスのスピリチュアリスムに対する批判のために機能させられた。これはスピリチュアリスム側に、「心理学」という学問の位置付けを再規定させることを余儀なくし、この問題系はベルクソンが登場する時代にまで引き継がれながら、この時期のフランス哲学の姿を決定することになった。 2.70年代以降、フランスではリボーが精力的に実証主義的な心理学を導入しながら、上記の批判を継続した。特にスペンサー的観点を導入することによって、リボーは、人間精神の普遍的本性という観念を批判し、そしてまたそのような精神が抱く観念に基づいて形而上学を維持しようとしていたスピリチュアリスムに対して改めて破壊的な作業を行った。 3.以上の対立は、決して単に抽象的な思想のレヴェルだけで論じられるものではない。「ユニヴェルシテ」という教育制度(カリキュラム、ポスト配分等)ならびに雑誌をはじめとするメディア(雑誌の創刊、編集方針等)が形作る「場」の力学と照らし合わせる形で、この時期の思想の展開は考察される必要がある。 以上の考察は、ともすれば抽象的思想がただ内在的に発展するかのように描かれるこの時期のフランス哲学、特にいわゆる「フランス・スピリチュアリスム」の概念を相対化し、これまで論じられてこなかった重要な思想史上のトピックを明示しつつ、当時の個々の思想家を改めて評価しかつ読解していくための適切な解釈格子を用意するという成果をもたらした。
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